【従業員が逮捕】実務シリーズ

こんにちは!  社会保険労務士srです。

「従業員が逮捕されました! どう対応すればよいですか?」という
相談があった場合・・・
本日は、このような事例を考察してみたいと思います。

従業員が犯罪を起こした

まず犯罪をどこで起こしたかがポイントとなります。

・企業内
業務上横領、職場内での窃盗などの場合ですが、就業規則がキチンと作成
できている会社であれば、懲戒解雇等かなり重い処分になると思われます。

今更ですが、懲戒解雇ではありません。
懲戒解雇の場合は、就業規則に具体的な行為が例示されていて、そこに該当した場合
のみ懲戒解雇が適用となります。
抽象的な記述では、処分できませんので、現在の就業規則の懲戒解雇の部分が
そのような記述になっていないなら、改定を実施してください。
(僕に依頼してくれれば・・・(笑))

一方で、
・企業外(私生活上の犯罪)は、懲戒解雇は難しい、
というかほぼできないと思っていた方が良いかもしれません。
但し企業内秩序維持の場合は可能?かもしれません。
その際考慮すべき内容は、
①犯罪行為の内容  ②企業の業種・規模  ③従業員の職種・地位
④報道の有無    ⑤過去の処分例 などで、それらを勘案し決定されます。

くどいですが、就業規則に具体的な行為の記載がないと懲戒解雇はできません。
犯罪(逮捕)= 懲戒解雇 と思っている経営者は、以外と多いので、ご注意ください

具体的な対応方法

では、それぞれの場面での対応は?
① 本人が認めていない場合、刑事処分が確定するまでは処分しない、
できない。推定無罪が働いているからです。

② 事実確認は、本人からが基本ですが、いくつかの理由で聴き取りできない
ことがあります。警察から口止めされることもあるようです。余罪や周辺
を探っている?ケースが考えられます。
その場合は、
弁護士を選任している場合もあるので、弁護士から聴取できます。
どこまで教えてくれるかは・・・定かではありませんが。

③ 逮捕拘留中は、欠勤・無給で対応
出勤して仕事ができないため=ノーワーク・ノーペイですね。
③´ 釈放されても起訴の可能性がある場合は・・・
自宅待機となりますが、この場合は(民法536-2)から有給対応となります。
自宅待機の場合は、常識論では間違ってしまうので、次項で詳しく記載します。

④ 有罪判決(痴漢・窃盗等)でも、懲戒解雇にできないこともあります。
ちょっとビックリですけど、
業務時間外の犯罪行為は、仕事とは関係ないというのが日本の労働法の考え
⇔ 懲戒処分は、あくまでも企業内(秩序維持)のルール
だからです。

自宅待機命令について

◎自宅待機を指示することは、就業規則に根拠規定がなくでも良いです。
それは、下記の理由からです。
・業務上の必要がある
・労務提供の受領拒否

但し、賃金の支払いは別問題です。
・処分決定までの調査や検討のための措置とする場合
賃金の全額支払いの義務は生じます。(規定がない場合民法536条2)
労基法26条、平均賃金の60%と考えがちですが間違いです。これを適用するため
には、規定が必要です。

◎起訴休職(無給)で対応する
この状態で出勤を認めると職場が混乱する可能性大なので、就業規則に
起訴休職(逮捕、起訴されたときは休職を命ずる等)の規定があれば可能です。
(僕は、今までこの規定は作ったこともないし、見たこともありません💦)

・処分のための自宅待機(当然無給)
懲戒規定には、「自宅謹慎」という表現で規定されていることが多いです。
これ自体が懲戒処分なので、この後の懲戒処分はできないので注意必要です。
(二重処罰の禁止)

まとめに代えて

如何ですか?
・犯罪=クビ(懲戒解雇)というわけではない
・犯罪を起こした(かもしれない)から、刑の確定まで自宅待機命令を出したら
 賃金全額支払う必要がある。
常識論?としての結論と差異が生じるな、と思ってしまいます。

現実論としては、
※退職勧奨で、何とか企業の外に出すこと・・・となりますが、
堪えるところは堪えて、慎重に対応したいところです。

本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。

sr
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社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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