【派遣社員の年次有給休暇】実務シリーズ

こんにちは!  社会保険労務士srです。
僕の顧問先では、派遣社員を大量に採用している企業がありますので、
相談が来る可能性がある内容を予想してみました(笑)。

派遣社員の労働契約

派遣元 = 派遣会社    派遣先 = 就業会社 です。
・派遣元  ⇔  派遣先
(労働派遣契約)
・派遣元  ⇔  派遣社員
(労働契約)
派遣社員と直接労働契約を結ぶのは派遣元なので、労基法上の使用者
としての義務は、派遣元が負うことになります。

一方で、
・派遣先  ⇔  派遣社員
(指揮命令権)
なので、派遣社員と派遣先とは直接の労働契約はないのですが、特別
に、労基法の一部が適用されます。

代表的なものは、下記の通りです。

労働時間、休憩、休日(有給休暇は派遣元)、安全衛生面での管理、セクハラの防止等

派遣社員の年次有給休暇

どこが付与するの?
年次有給休暇に関しても、派遣元が使用者なので、労基法上の要件を
満たすことで年次有給休暇が、派遣元から付与されることになります。

派遣社員に年次有給休暇を付与するのが派遣元だからと言って、派遣先
に言わずに年次有給休暇を取得しては、派遣先が困ります。
ですから実務上は、派遣先に申し出たうえで、派遣元に申請することに
なります。

派遣先が繁忙期だからと言って、派遣社員に対して時季変更権を使うこと
はできません。その際は、派遣先から派遣元へ連絡をして、派遣元が時期
変更権を使うことになります。
実際の場面では、直接雇用と違って、お伺いがどうしても必要となるでしょう。

派遣先が一斉休暇の場合

では、夏休みなどで派遣先の取り決めで一斉休暇となる場合はどうなる
のでしょうか。
直接雇用の社員は、事前の労使協定等で年次有給休暇を使用することに
なりますが、派遣社員は対象外です。
職場自体が休みなので、派遣社員が働きたくても派遣社員の労務の提供を
受けることはできません。

当該派遣社員の年次有給休暇の残数が少なく、年次有給休暇を使用したくない
ケースも考えられます。派遣元がその期間、別の事業所へ派遣できないか検討
すべきとなるのでしょうが、現実的には難しいと思われます。
当然ですが、派遣元が強制的に年次有給休暇を取得させることは、できません。

そうなると、派遣先の一斉休暇が原因なので派遣元には責任はないのですが、
派遣元の管理上の理由によって派遣社員が働くことができないので、労基法
26条の休業手当を支払う義務が生じることになります。

派遣元は派遣先との契約時に、このような休み等を確認した上で、派遣社員の
就労日を定めるべきなのでしょう。

まとめに代えて

僕の単純なイメージですが、以前は派遣社員というと「他社の社員」という
感じで、「自社の社員」とはかなり太い線で区切っていました。

しかし、その線はどんどん細くなり、2018年の改正で、派遣先の果たす義務
は、かなり大きなものとなったような気がします。
いわゆる「均等・均衡待遇」や「労使協定による待遇」のいずれかを確保
することが義務化され、不合理な待遇差を解消する措置が取られています。

なので、最近では「他社の社員」との線は存在するものの、業務上は、ほぼ
「自社の社員」と同様に指示したり、面談したりしています。
少し前の「代替要員」「一時的に不足した労働力の補完」という意識は、捨て
なければなりません。

本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。

sr
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社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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