【試用期間と解雇】第16回特定社労士試験

こんにちは!  (特定)社会保険労務士srです。

今回は、試用期間と解雇について取り上げたいと思います。
昨年行われた「第16回紛争解決手続代理業務試験」の論点
にもなっていました。

今回の内容は、三菱樹脂事件、神戸弘陵学園事件の判例を参考に
しています。

試用期間の法的意味

解約権留保付雇用契約
但し、留保されている解約権の行使には一定の制限
がある、とされています。

その制限とは、下記のようなことです。
・客観的合理的理由があるか
・社会通念上相当として是認されうるか

いつもながら抽象的ですね。
具体的な判断基準は・・・

使用者が採用決定後の調査、または試用中の勤務状態
等により(当初知ることができなかったこと)、知るに
至った事実が、その者を会社に引き続き雇用しておく
ことが適当でない、と判断することが客観的に認めら
れる場合。

このような場合には、解約権を行使できる=解雇できる
となります。
通常の解雇権の行使よりは、より広い範囲での解雇が認
められていることになっていますが、いずれにしても解雇
なので、そう簡単に認められるわけではありません。

新卒採用と中途採用

試用期間であれば、全て同じではありません。
新卒と中途採用では、中途採用の方が解雇の判断範囲が
広く認められます。

中途採用者は、これまでの職歴から一定水準以上の能力
を持っていることを前提に採用されている
からです。

一方で、新卒採用者は社会人経験が全くない(特に高卒者)
ので、かなり狭められてくると判断するべき
でしょう。

今回の、特定社労士試験の問題は、高卒者なので、解雇権
の行使はかなり制限されると考えられます。
よって、解雇権乱用として解答していく方が、まとめやすい
かもしれません。
(実際は逆の結論でも、論理展開に上記論点が含まれて
いれば問題はないと思いますが・・・)

まとめ~実務上では

では、実際の場面ではどうなんでしょうか。

多いのは、勤怠状況が著しく悪い、ということだと思います。
無断欠勤は当然NGですが、無断でなくても休みがちであれば、
試用期間後の本採用は難しくなります。
仕事が合わないということもありますが、何らかの病気である
ことも多いです。治ったと思っていたけれど再発した、という
ようなことはあります。
「当初知ることができなかったことを、知るに至った」事実
ということになるでしょう。

上記に比べれば、資質、能力といった部分での判断は難しいと
思います。しかも新卒採用者は。

その場合は、試用期間の延長が良い方法だと思います。
多くの就業規則には、試用期間延長の規定があると思われますが、
ない場合は付け加えることをお勧めします。

修正課題を与えて、試用期間を延長する。
多分修正課題を100%クリアすることは無理だと思いますが、6割
程度できていれば本採用かな、と思います。
あくまでも新卒者の場合です。
中途採用者の場合は、ハードルが高くなるのは言うまでもありま
せん。

しかしながら、試用期間中といっても解雇は解雇なので相当な理由がなければ
いけないのですが、未だに「試用期間中は自由に解雇できる」と思っている
経営者が多いのも事実で、残念に思います。

本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。

sr
sr

社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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