【定年退職と雇用保険】実務シリーズ1

こんにちは! 社会保険労務士srです。

教科書で読んで、わかったように思えても、実務で??と
思うことたくさんあります。
人事は、法律に基づいていることが多いので、いい加減には
できません。

今日の気付きを、リアルタイムでブログにします(笑)。

【現行法での定年退職】

2021年春に施行される改正「高年齢者雇用安定法」で、70歳までの
就業確保が努力義務として課せられます。

現在は、「従業員が希望した場合には、企業は65歳までの継続雇用の
義務がある」となっています。

よって、多くの(中小)企業は、「60歳定年、希望者は全員65歳まで継続
雇用する」ということを、就業規則で定めています。

今回は、この60歳定年、65歳までの継続雇用時の雇用保険の基本手当の
受給について、実際にあった話を題材にして解説していきます。

60歳で定年退職だけど、いろんな都合で少し定年を延長したときの注意
すべき点です。(人事がしっかりしていれば大丈夫ですが)

【定年退職時の雇用保険 基本手当】の特例

1 60歳以上の定年退職等による場合、基本手当の受給期間が延長できます。
基本手当(いわゆる失業手当)の受給期間は、原則1年間です。(例外あり)
この受給期間が、1年を限度に延長されます。(最大2年ということです)

60歳未満の一般の離職者には、一刻も早く再就職してください、だけど
定年退職の方へは、「お疲れさま。先のことは、少しゆっくりして考えてね」
という具合です。

2 基本手当の給付制限なし(解雇、定年、契約期間満了)
離職理由によっては、基本手当が3ヵ月支給されません。
良く知られているのは、「正当な理由がなく自己の都合」による退職です。
(「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」も同様です)

60歳定年で「スパっと」辞めれればいいのですが、会社は勝手で「引継ぎ
の間だけ残ってくれ」「〇〇の仕事が終わるまで残ってくれ」と引き留める
ことがあります。

大企業ではないでしょうが、中小企業ではよくある話ではないでしょうか?

そして、中途半端に延長して、上記制度を知らず受給期間延長ができない
のみならず、基本手当の支給まで3ヵ月待機することになってしまうのです。

いや、実際にいらしゃったので、記事にしています。
(その方へは、僕がアドバイスして適切な形にして差し上げました)

【定年退職の手続き】は基本を守って

実際には、基本を守っていれば、上記の特例を知らなくても問題なく、
それぞれの適用を受けることは可能です。

では、その基本とは?

就業規則雇用契約書(労働条件通知書など)です。

簡単なことですが、中小企業では不十分な会社が多いです。

1 就業規則
冒頭で紹介した「高年齢者雇用安定法」に沿って、定年退職の条文が改定
されてますか?
最近は、労働局関係の指導も徹底してるので、抜けがない・・・とは・・

2 雇用契約書(労働条件通知書など)
ここは危ないですね、特に中小企業は。
雇用延長(継続雇用も含め)の際は、期間を定めた雇用契約書を交わすべき
です。

引継ぎ等で数か月延長する際も、必ず交わしてください。
その位の期間で、上記書類が揃っていると・・・なんと「定年退職」として
扱ってくれるそうです。
給付制限もなく、受給期間の延長もありです。

継続雇用の場合も、期間を決めて雇用契約書を作成しましょう。
僕が作った規定は、65歳まで1年更新にしてあります。
従業員の方は、不安定に思うようですが、仮に62歳で何らかの理由で退職と
なっても、期間満了で給付制限は受けなくて済みます。
定年退職にはならないので、受給期間延長はないですが。

まとめ

こう言ってしまえば終わってしまうのですが、基本的なことはきちんと
やっておきましょう。

就業規則の整備や雇用契約書は基本です。
定年退職においては、勘違いしている方が多くいるよう感じます。

例えば、「高年齢求職者給付金」を間違って理解して、60歳の定年退職の
前に辞めてしまう人もいるようです。「高年齢求職者給付金」は一時金の
ようなものなので「損をしてしまう」と考えるようです。
「高年齢求職者給付金」は、60歳定年の際には一切関係のないことです。
65歳以降で失業した場合、要件に合えば支給されるものなのです。

僕が、今回の件で迷ってしまったのは、「特定理由離職者」の要件と混同
してしまったからです。
念のため、と確認するため調べた箇所が「特定理由離職者」の「期間の
定めのある労働契約の期間が満了し、かつ当該労働者が更新を希望して
いたにもかかわらず、契約の更新の合意に至らなかった」という要件です。

全く違う部分なのに、混同してしまいました。
給付制限に関して言えば、契約期間満了で十分なのです。

今回の件で、社労士試験を思い出してしまいました。
記憶が曖昧だと、このようなひっかけ問題にはまってしまうのだな、と。

でも、実務は「人」が相手で、場合によっては、その人の生活のも影響
を与えてしまうので、慎重に対処しなければなりません。
そして、その実務で身に付けた知識は、本当に役立つ武器となります。

本日も最後までお読み頂き、まことにありがとうございました。

sr
sr

社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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