【転勤命令の有効性】実務シリーズ

こんにちは!  社会保険労務士srです。

人事業務の中で、「転勤」を伝える場面は多くあります。
その際、注意すべき点をまとめてみました。

ちなみに配転という言葉もありますが、
配転とは、勤務場所の変更と職務内容の変更があり、
一般に、勤務場所の変更を「転勤」と言います。

転勤命令の根拠

◎就業規則または労働協約等に、転勤条項があること。

特に正社員の場合は、ほとんどの場合規定されているため
理由なく拒否することは難しい。

はずなのだが、業界、業種により今まで殆ど転勤事例がない
場合、トラブルとなる場合が多いです。

転勤を言い渡す側は、就業規則に規定されている「正当な
人事権の行使」であるため、なかば強引に、場合によって
は突然の発令を行う場合があります。

一方で従業員側は、なぜ自分(だけ)が、他の人でも良いの
では?と拒否してしまう。

このようなトラブルを避けるため、或いは、転勤命令が
権利の乱用として無効と判断されないよう準備する必要
があります。

トラブル防止 その1

業務上の必要性 ⇔ 不当な動機・目的ではない
これらのことを、説明する

①ジョブローテーション
会社の方針として定期的、頻繁に行われている実績があれば
問題が生じることはないでしょう。
そんなに頻繁でなくても、従業員のスキル向上及び職場間の
職務遂行力の均衡等、理由付けをすればよいと思われます。

人事交流、人材育成を目的として、転勤者の将来について
理由付けする
のも良いと思います。

②会社側の事情
・他部署の欠員
「なぜ、あなたが選ばれたのか」ということを、丁寧に説明
する必要があります。能力、経験、適正等から理由付けを。

・事業所の閉鎖、縮小
「事業所の閉鎖は決定事項だからとにかく従うように」と
「当たり前」を前面に出して、説明・伝達(命令)をしな
いことがポイントです。

説明する人間にそんな気持ちがなくても、説明を受ける側
は、普段よりネガティブに反応してしまう
のです。
事情が事情だけに、誠意を持って、可能な限り具体的に、
ここに至った経緯等説明
しなければなりません。

③従業員側の事情
代表的なものとして、能力不足、職場場内トラブルの原因
などが挙げられます。

ここは難しいところで、本当の理由を伝えるか、伝えないか
迷うところです。
特に人員が不足している業界では、本当の理由を伝えると
辞職に繋がり、さらなる人員不足に陥ってしまうことを懸念
するようです。

しかし、本当の理由を伝えないと、不当な動機での転勤命令
と取られる恐れもあります。

(伝えても取られるかもしれませんが・・・)

僕は、この場合問題点はきちんと伝えるべきだと考えます。
そうしないと必ず、転勤先でも問題となり、さらなるトラブル
が発生するのです。本人のためと思い、きちんと伝え、新しい
職場で心機一転のチャンスを活かすようアドバイスしたいです。

トラブル防止 その2

通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がないよう考慮する。

この部分については、下記のような例が考えられます。

①通勤時間
明確な規定、基準があるわけではないです。都会の公共交通
の通勤と地方のマイカー通勤では、条件が違ってきます。
周辺同業種、過去の事例を参考にするしかないですが、状況
を考慮して誠意ある対応をするべきでしょう。新幹線通勤や
高速道路使用許可など含めて。

②家庭、家族の事情
ここについての、事情は状況によって様々なので、①と同様
誠意ある対応をしたいところです。場合によって「特別手当」
などを考えるのも方法だと思います。

③転勤による降格または手当の減少
本人の同意が大前提となりますが、可能な限り規定、規則に
則った対応が望まれます。

まとめ

多くの場合は、説明不足がトラブルの原因になると思われます。
転勤命令は、使用者側が持つ「人事権」の行使です。さりとて
上記でも述べましたが、一方的になることは避けるべきです。

すき好んでトラブルを起こす必要もなく、可能な限り納得して
新天地で能力を発揮して頂きたいし、それが会社のためにもなる
からです。

一方で、「不当な動機」を持った転勤命令があることも事実です。
「不当な動機」になるかどうかは、本当の理由を伝えるかどうか
です。
トラブル防止 その1③で書いた通りです。理由を伝え、転勤に
よる心機一転を誠意を持って説明し、結果は結果としてとらえる
ことだと思います。

それ以外の「不当な動機」は論外で、人を雇う資格はないと思います。

本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。

sr
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社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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