【出向者の労災保険】実務シリーズ

こんにちは!  社会保険労務士srです。
相談業務では、日々様々な問い合わせを受けます。
相談顧問ですので、ググると同時に社労士へ!的な感じで使って頂いてます。
多分お役に立っていると・・・(笑)

教科書的には知っていても、実務で直面すると迷ってしまうこと
多いのだと思います。
今日の記事もその一つかと思います。

出向の種類

出向には、大きく分けて2種類あります。
出向元との労働契約に基づく従業員たる地位を保有したまま、
出向先の指揮監督下で労務を提供する・・「在籍出向」

出向元との労働契約を解消した上で、出向先との間で新たに
労働契約を締結する・・「転籍出向」

通常、出向において問題になるのは、ほとんどの場合①の
「在籍出向」なので、今回の記事の出向は全て「在籍出向」
読み替えてください。

出向者の労災保険

出向元との労働契約を維持したまま、出向先との間には指揮命令を
受ける立場にあります。ややこしいですね。
しかし、業務の主体は出向先ですので、出向先の他の労働者と同等
の立場で仕事を行うことになるので、労災保険の適用は出向先
対象労働者とされます。

労災保険料も原則的に出向先の負担になる所以です。
因みに、雇用保険は、雇用契約が存在している出向元の負担となり
ます。本当にややこしいです。

代表取締役として出向した場合の労災保険

では、子会社の社長として出向した場合はどうなるか、考えてみま
しょう。上場企業などで多くあるケースかと思います。

労災保険の対象者は「労働者」なので、法人の役員は原則対象外
です。(兼務役員等は「労働者」として扱うことはありますが)
しかし、代表取締役は「労働者」として扱われることはないので
対象外です。
よって、出向先の労災保険の適用を受ける出向者である代表取締役
は、労災保険が適用されないことになります。

しかし、子会社及び関連会社の代表取締役として出向する際、
出向元では、部課長のポジションの方も少なくないと思われます。
となると、元々所属していた会社では労災保険の適用となるのに、
出向したがゆえに労災保険の対象とならないのは、対象者として
は納得のいかないことだと思います。
でも、対象外です。

蛇足ですが、このような場合、中小事業主を対象とした「特別加入」
制度があり、条件によっては労災保険に加入することも可能です。
なお、特別加入者は、労災保険二次健康診断等給付の対象とはなりま
せんので注意が必要です。

まとめに代えて

上記のような場合、元々は労働者なのだから、出向元で労災保険適用
とすればいいじゃん!と考える経営者の方は、少なくありません。
「何か抜け道があるだろう! それを提示するのが社労士の仕事だろう」
と言われることも、ある程度の確率で想定できます。
(そのような企業さまとは、お付き合いしませんけど・・)

まあ、幸いにも僕のクライアントさんは、説明をきちんと聞いた上で
納得して頂ける紳士的な(普通?)企業なので助かります。
というか、信頼されているのだと思い感謝しています。
そして、なお一層、迅速で的確な回答ができるように研鑽に励みたい(笑)。

本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。

sr
sr

社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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