こんにちは! 社会保険労務士srです。
本日は、助成金の王道「キャリアアップ助成金」についてです。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の概要
この「キャリアアップ助成金」には、いくつかのコースがありますが、
僕が、クライアントさんに、まずお勧めしたいのは、下記のコースです。
◎正社員化コース
①有期⇒正規:57万円
②有期⇒無期:28.5万円
③無期⇒正規:28.5万円
(①~③併せて1年度1事業所あたり支給申請上限20人まで)
で、実務的には①がほとんどなので、ここをおさえたいと思います。
さらにその中でも、僕のクライアントさんに共通してご紹介しよううと
思っているのが、「派遣社員⇒直接雇用」した場合です。
この場合は、①の金額に28.5万円が加算されます。
派遣社員を直接雇用に転換する場合、手数料がかかりますので、それを
この助成金で補填する、ということです。
キャリアアップ計画の作成・提出⇒労働局長の認定必要
まずは、ここから始まるのですが、ご存じない方多いです。
この計画は、計画期間が3年~5年なので、一度申請してしまえば複数年
使えますので、早めに出すようにしたいものです。
・時期:転換の少なくとも1か月前
・単位:雇用保険適用事業所ごと(キャリアアップ管理者選任)
・内容:有期⇒正規、派遣⇒正規など
キャリアアップ管理者は、通常、人事部門の責任者が適任だと思います。
実務的には、正社員登用試験等の計画、実施、記録、雇用計画書作成などなど
実施しなければならないからです。
最終的には、賃金台帳、勤務表等も用意しなければなりませんから。
就業規則等に転換制度を規定
ここは、まさに社労士の出番です。正式な手続きのもと就業規則を確認し、
不足があれば追加・改定していきます。
ほとんどの場合、改定が必要です。特に「派遣⇒正規」を就業規則に規定している
ところは少ないので、注意が必要です。
・内容:有期⇒正規、有期⇒無期、無期⇒正規、派遣⇒正規
全てを規定したほうが良いです。
後になって発生した、では遅い場合が多いですから。
・転換条件:勤続年数、試験方法、転換時期規定等
勤続年数は、1年が多いです。
試験方法は、面接がメインですが試験をプラスするところもあります。
・手続:過半数代表者の意見書、労基への提出
労働者への周知←当然のことですが…
3 転換・直接雇用に際し、就業規則等に規定した試験を実施
・結果の記録:所属長の推薦理由⇒試験・結果⇒面接・結果⇒合・否
この過程を1枚で管理する帳票を作っておくことをお勧めします。
試験は、当然試験問題を作らなくてはいけないと採点がありますので、注意
必要です。複数回実施する際は、試験問題の管理も必要となってきます。
試験問題は人事関係者が責任を持って管理し、試験後には回収を必須とします。
あと、僕が経験した中では、面接及び試験は業務時間か?で揉めました。
会社側は業務外、従業員側は業務内という主張。その時は結局、会社側の主張で
行いましたが、事前の取り決めをした方がよいと思われます。
4 正規雇用等への転換・直接雇用の実施
この部分は、本来、会社の規則に則って行えばいいのですが、整備されてない
会社も多いです。労働条件通知書(雇用契約書)作成してない会社は未だ多い
です。ここも社労士の出番です。
・手続:労働条件通知書等を対象者に交付
・待遇:就業規則等に定められた通りにする
・給与:転換前6か月と転換後6か月を比較
賃金台帳、勤務表等必要
この6か月の賃金比較は、令和3年度の変更点なので、要注意です。
「正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換後の6か月の賃金を
比較して3%以上増額していること」
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、
賞与は含めない。
(昨年度の増額幅は5%以上でしたが、賞与を含めた賃金総額でした)
5 支給申請書提出⇒審査、支給決定
やっとここまで来たのですが、この最後の部分で気を抜いてはいけません。
助成金不支給は、要件不足も当然ありますが、「支給申請期日」の間違いも
多くあるので注意必要です。
転換後6か月分の賃金を支給⇒支給申請
・申請:転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日起算2か月以内
※賃金には時間外手当等含むため、時間外等手当を翌月支給してい
る場合は、その翌月支給された日を、賃金を支給した日とする。
(規定によるので、時間外の実績がない場合も上記の解釈で)
なんかこの部分、意地悪な感じするのは僕だけでしょうか。
各種助成金で異なるので、提出代行受ける社労士としては、嫌な部分です。
そうして、 審査経て、支給決定となります。
・期間:3か月~6か月程度
6 まとめに代えて
・その他の注意点として
①有期労働者について
過去に無期労働者であった有期労働者に行いては、注意必要。
「転換日の前日から過去3年以内において、6か月以上無期労働者であった場合は
無期労働者とみなされます」
②派遣労働者について
①の要件は、必ず派遣会社しましょう。派遣社員として契約する前に、必ず行う
ようにしたいです。
「派遣社員⇒正規」について、僕は「紹介予定派遣」の利用を提案するつもりなの
で、事前の履歴書等で確認するつもりです。
以前のブログでも書きましたが、助成金のスポット契約は怖いですね。
怖いというか、「不支給」になる可能性が高くなってしまう気がします。
細かい部分に気づかない、ということが起こる気がします。
それは、自分の報酬とか損害補填の問題よりも、クライアント企業のお役に
立てないからです。
助成金の内容をまとめていくうちに、僕の中で漠然と思っていた
「スポットで助成金は受けない」の考え方に、しっかりとした理由付がされました。
本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。
コメント