こんにちは! 社会保険労務士srです。
定年70歳とか、定年制廃止とか、法制度の改正等ありますが、
現実的には、継続雇用するけれど60歳を機に、職務内容を
見直して賃金を低下させる企業も多いように感じます。
何でもありか?
未だ多くの会社では、「60歳定年で希望者を65歳まで継続雇用」
としていると思います。
そして、この「継続雇用」では、1年ごとの有期労働契約になる
ことが多く、賃金も低下します。
業務量或いは労働時間を半分にして、賃金も半分にする。
配置転換をして、賃金変更、嫌なら辞めてください。
継続雇用に名を借りた、人件費カット、はたまたリストラという
企業というか経営者が未だ多く閉口してしまいます。
あ、ちなみに「再雇用」という言葉を使う方もいらっしゃいますが、
僕は「継続雇用」という言葉を使わせて頂きます。
「再雇用」というと、一度辞めて頂いて、雇いなおすという感覚が
あり、その際の労働条件等は「何でもあり」になってしまうのでは
ないか、と思うからです。
あくまでも「継続雇用」であり、60歳前からの継続性や連続性が
ある程度担保されなくてはいけないと考えるのです。
高年齢者雇用安定法の趣旨
では、60歳定年後の雇用について、どのように考えればいいのか?
ということは、高年齢者雇用安定法の趣旨に沿ってということに
なると思います。
九州総菜事件(福岡高判平成29年9月7日労働判例1167号より引用)
「60歳定年女性従業員に、月収ベースの賃金の約75パーセント減少
につながるような短時間労働者へ転換する再雇用提案をした。
このことは、高年法9条1項の継続雇用制度の導入の趣旨に反し、
裁量権を逸脱又は濫用したものである」としました。
そして、高年齢者雇用安定法9条1項の高年齢者雇用確保措置を講じる義務は、
極めて不合理で、労働者である高年齢者の希望、期待に著しく反する労働
条件を提示する行為は、継続雇用制度の導入の趣旨に反し違法である、として
います。
「再雇用」という名のもとに、職務内容を大幅に変え、賃金額を大幅に低下
させることは、法の趣旨に反し、継続雇用の連続性・継続性が見られず違法
と判断される可能性が高い、と思われます。
(最高裁の判断ではないので判例としては使えないかもしれませんが)
つまり、「何でもあり」ではない!ということです。
まとめに代えて
高年齢者雇用安定法については、以前のブログでも意見を書かせて頂きました。
【高年齢者雇用安定法】改正施行
法律を作る側と、企業と現実に大きな隔たりがあります。
それを無視して己の都合ばかりで考えた結果、多くのトラブルが起きて
います。(表に現れなくても起きているのですよ)
当然、60歳を機に、ゆるく働こうと思っている人もいます。又は親の介護、
自身の体力低下、病気などで、従前通りの働き方ができなる人もいます。
しかし、そうでない人達に、上述したような「一度退職して新規雇用」的な
考えのもと、労働条件を低下させることが横行している感じがします。
一方で、何の努力もせずスキルアップをあきらめてしまった人にも、等しく
本当の意味での継続雇用を適用すべきかというと、それはそれで厳しいと
思います。(その辺は、下記のブログで記事にしています)
【45歳定年制】について
60歳であってもそうでなくても、正当な人事評価のもとに労働条件とそれに
伴う待遇が示されるべきだと思うのです。
それでもなお労働条件等が低下するのならば、仕事のスキル以外に欠点が
あったのかもしれません。
60歳になった方は、一度自身の仕事上のスキル等、棚卸をするとよいかも
しれません。
(専門的な)スキルを身につけ、さらにレベルアップをしようとしている方
ならば、必ず必要とされる場があると思いますので、旧態依然とした体質か
ら抜けきらない企業には早めに見切りをつけてはどうでしょうか。
努力をして行動すれば、道は開けます。
本日も最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。
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