【時間単位の年次有給休暇】導入のプロセス

こんにちは! 社会保険労務士srです。

来年の独立に向け、会社勤務生活も残りわずかとなりました。
人事として社員の皆さんに、要望の多かった「時間単位の年次有給休暇」
を置き土産(笑)とするべく、その導入プロセスを同時進行的にブログに
記載します。

【時間単位の年次有給休暇】導入の意義

時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」とします)を導入する
ことに、どのような意義があるのか考えてみましょう。

メリット
・現在の多様な働き方の考えに合致する
・ワークライフバランスを取りやすい
・採用時の武器になる
・人不足の業種によっては不足感が薄まる
・社員(特に主婦層)に圧倒的に喜ばれる

一方で、導入を躊躇する企業側の懸念材料として

デメリット
・遅刻、早退等の隠れ蓑に使われる
・権利の悪用に使用される恐れがあり、職場が混乱する
・管理が細かく煩雑で、手計算では無理がある

このデメリットを考え、導入をしない企業もありますが、ここは企業
判断だと思います。
この件に対して私見は、
・悪用する社員は必ず出てきますが、数は少ない
・悪用が重なると職場に居辛くなる
ということになりますが、どう考えてもメリットがデメリットを上回る
ため、導入した方がベターであると考えます。(如何でしょうか?)
管理が無理!については、最終項で説明します。

【時間単位の年次有給休暇】導入の手続き

この時間単位年休は、10年前の平成22年4月より、労働基準法第39条が
改正され取得可能になりました。
但し、「労使協定により、年次有給休暇について5日の範囲内で時間を
単位として与えることができる」という条件つきです。
詳細は、下記厚労省資料を参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf

手続きとしては、まず就業規則を条項追加し改正します

第○条 労使協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲内で、
次により時間単位の年次有給休暇
(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休付与の対象者は、すべての従業員とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下の
とおりとする。

①所定労働時間が5時間を超え6時間以下の者・・・6時間
②所定労働時間が6時間を超え7時間以下の者・・・7時間
③所定労働時間が7時間を超え8時間以下の者・・・8時間
(3)時間単位年休は1時間単位で付与する。
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常
の賃金の1時間当たりの額に、
取得した時間単位年休の時間数を乗じた額とする。
(5)上記以外の事項については、前条の年次有給休暇と同様とする。

補足として、上記太字の部分
・「すべての従業員」とせず、限定しても良いです。
・所定労働時間が・・・・のくだりは、各社の実情に合わせます。
(すべての従業員とした場合は、全ての従業員が網羅される時間数を)
(限定した場合は、限定した従業員の時間数を)規定します。
ここに、「事前申請」の条件を入れることをお薦めします。
悪用防止のための一文です。効果は大きくないかもしれませんが。

 

次に、労使協定も就業規則と連動した内容で作成します。下記必須項目です。
①時間単位年休の対象労働者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
(対象者)
第1条 すべての従業員を対象とする。
(日数の上限)
第2条 年次有給休暇を時間単位で取得することができる日数は5日以内とする。
(1日分年次有給休暇に相当する時間単位年休)
第3条 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、1日の年次有給休暇に相当する時間数を
8時間とする。

(取得単位)
第4条 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、1時間単位で取得するものとする。

就業規則で、従業員を限定した場合は、労使協定の太字の部分も
それに合わせ変更してください。

僕が所属している企業では、4時間未満の方は含まない規定にします。
現状では4時間未満の労働時間の方がいないためです。
(尤も、4時間未満の労働時間を分割したら仕事にはならないからも
あります。この辺は、業種によって考え方が異なりますね)

【時間単位の年次有給休暇】の管理手法

管理上、面倒な部分は、

・計画付与に時間単位年休を使用することはできない
・付与義務5日間に時間単位年休を含めることはできない

・1日の所定労働時間に、時間に満たない端数がある場合は
時間単位に切り上げる

だんだん頭が痛くなってきます・・・そして
・残日数管理、残時間数の管理

手作業での限界・・・メインは
・繰越し

・・・勤怠システムにて管理する。
この部分は、これで解決できます。

僕も、勤怠管理システム導入まで、従業員から要求があっても
「管理できないから、結果的に皆さんに迷惑がかかる」と言っていました。

逆に、勤怠システム導入時には「時間単位年休」等、従業員へのメリット
が大きいことを売りにして、承認を取りました。
勤怠システム導入については、下記にて公開しています。

【勤怠管理】システム化3

勤怠管理システム化 ⇒ 時間単位の年次有給休暇導入
これが、僕の「人事社員」としての置き土産です(笑)。

本日も最後までお読み頂き、まことにありがとうございました。

 

 

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社労士SRです。
令和3年度の独立開業に向け、色々挑戦中です。
見よう見まねですが、blog、Twitterも始めました。
拙い内容ですが、よろしくお願い致します。

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